Dr Leslie Kayによる視覚障害者用超音波式環境探知機の歴史
第1世代のソニックトーチから 始まった超音波式ETA(電子移動補助具)が、 第2世代ソニックガイド(超音波メガネ)、 第3世代トライセンサー、第4世代K-Sonar(ケイソナー)へと、進化してきました。
そして現在第5世代として、両耳聴式環境探知機の開発が進められています。
それでは各世代機について少し詳しく説明いたします。
第一世代機ソニックトーチ
L,Kayは1950年代、イギリス海軍の科学者として敵潜水艦や魚雷など海中にある物体を探知する音波を使った聴覚神経処理による水中ソナー技術を開発していました。1959年英国女王が研究所の近くにある盲学校へスイミングプールの完成に伴う視察に訪れました。その様子を見ていたL,Kayは「盲目の子供たちは泳ぐ方向(道)を見つけることができるだろうか?」と疑問を持ち、自らが開発している音響装置をその疑問の解消に役立てることを決断しました。そして、単純なトーンパルスを使った装置を確立するための開発に力を入れました。L,Kayは開発の早い段階から水泳への応用ではなく、「手持ち式音波トーチ」による歩行補助具の方向へ舵を切りました。それは、1965年第一世代機「ソニックトーチ」として、超音波を用いた最初の商用ディバイスとして世に出ました。L,Kayはこの開発によって英国国立科学功労賞の最初の受賞者になっています。その後L,Kayは「”see with sound”音で見る!」の具現化に注力しました。写真は少し不鮮明ですが、第一世代機ソニックトーチです。
第二世代機ソニックガイド
「”see with sound”音で見る」の具現化に取り組んだL,Kayは「見る」ことへのこだわりから、装置を眼鏡のフレームに組み込みました。ソニックトーチからの一番大きな違いは1チャンネルから2チャンネル化への変更でした。2チャンネル化した装置は人の聞こえ=聴覚をモデルにして開発されました。人は左右両方の耳で聞く「両耳聴効果」により音源を定位します。L,Kayはこれをコウモリと同じように超音波を照射し、物に当たって帰ってくる波を人の聞こえる音に変換して提示することで置き換えたのです。視覚障害者は障害物知覚が優れていると評価されています。よく見られる場面では視覚障害者自らが小さな音(軽く舌打ちしたような音)を発し、その反射音により障害物を探知しているようです。この反射音を使い物体を探知する方法を「エコーロケーション」と言い、視覚障害者、コウモリ、超音波式ETAはそれを活用しているのです。この「エコーロケーション」を言葉で表現すると、2メートルのところにあるポールが、1、真正面にある場合は左右の耳に聞こえる音は同じ高さ大きさで聞こえ、2、右にずれている場合は右の耳に聞こえる音が少し大きく、左の耳に聞こえる音がやや小さく聞こえます。3、左にずれている場合は左の耳に聞こえる音が少し大きく、右の耳に聞こえる音がやや小さく聞こえます。もちろん、ポールに対し自分の顔が左右に動けば聞こえている音は左右に動いているように聞こえます。
写真は第二世代機ソニックガイド(ユーザータイプ)です。
第三世代機トライセンサー(第三.五世代機KASPA)
1978年「”see with sound”音で見る」をさらに追及したL,Kayは視覚をモデルとした第三世代機トライセンサーを開発しました。視覚には見ている対象物の詳細な情報を読み取ることに優れている「中心視野」と動きに対し敏感な「周辺視野」によって成り立っています。L,Kayは周辺視野をこれまでの装置で用いて来た探知範囲の広い超音波素子を使った2チャンネルで置き換え、中心視野を新たに開発した探知範囲の極めて狭い超音波素子を用いることで単眼状態の視覚を音により表現することに成功しました。トライセンサーのトライは”3チャンネル”を表しています。
トライセンサーは7つの代理店に提供され視覚障害者に有効に作用するか?専門的知識のない代理店スタッフで対応できるか?についてリサーチをしました。しかし、この試みは見事に失敗しました。L,Kayと今村との後の検証でその原因は、KASPA概念の理解のないスタッフにあるとの結論に達しました。なぜこの結論に達したか?それは、失敗直後に今村に提供された1台の机上タイプトライセンサーと2台のポータブルタイプトライセンサーによる歩行訓練前の盲児及び盲学校一般教科の先生に対する訓練指導でその有効性が証明されたからです。
L.Kayが提唱してきた「音で見る」を体現する訓練カリキュラムによ成果です。
写真トライセンサーの名称をKASPAに変更した第3.5世代機です
第四世代機K-Sonar(ケーソナー)とは
ここではまず、第4世代機’K’Sonarをご紹介いたします。
高度空間認知テクノロジー KASPAテクノロジーを採用
には、Dr.Leslie Kay(レスリー・ケイ博士)が開発した
高度空間認知テクノロジー(KASPAテクノロジー)が採用されています。
KASPAテクノロジーとは…?
コウモリが周囲の環境に関する豊かな空間情報を収集して自分の位置を認知したり、
対象物までの距離・大きさ・方向などを測る能力を応用した超音波機能のことです。
約40年間、動物の音波に関する調査と並行して研究されている非常に洗練された手法で、
様々な情報を瞬時に脳に伝達することができるのです。
超音波環境探知機 K-Sonar(ケーソナー)から得られる情報
を使用すると…
前方約5メートル×2メートルの範囲にある物体が、
懐中電灯の明かりのように照射される超音波により検知され、
使用者が装着した軽量のヘッドフォンから音としてその情報が得られます。
感覚の情報
の特徴は、白杖に取り付けて使用できることです。
グリップに簡単に取り付けることができます。
これにより、白杖の石突が触角の役目をし、地表の情報を提供します。
距離の情報
聞こえている音の高低で判断します。
距離が遠いときは高い音、距離が近いときは低い音になります。
この音は連続的に変化します。
材質・形状の情報
聞こえている音の音色で判断します。
滑らかな表面のガラスや金属の場合はキンキンした硬い音、
生垣や人等の柔らかい凹凸のあるものはザワザワした柔らかい音になります。
方向(位置)の情報
非常に狭い照射角度なので、を物体に向けることで容易に判断できます。
超音波環境探知機 K-Sonar(ケーソナー)の特長
なぜをお勧めするのでしょう?
その理由は以下の通りです。
1.他のETAより、得られる情報量が数十倍多く、活動範囲を広げられます。
2.白杖だけで物体を発見し回避するより、その手前で発見し回避できるためストレスが軽減します。
3.移動の際、より大きな自由を得られます。
4.単独歩行が容易になります。
5.移動性及び自信の向上により、様々な職場での対応が可能となります。
6.今までのETAと違い、2~3時間の学習で使用法を習得することができます。
7.歩行訓練と並行して習得することが可能です。
8.が白杖のハンドルとなるため白杖が安定し、より操作しやすくなります。
9.ヒップグリップ(ヒップポジション)で白杖を保持できるため、操作しやすく腕が疲れません。
10.利き腕を選びません。
11.すべての機能が非常にコンパクトに納められています。
12.軽微な衝撃に耐えられ、かつ環境にやさしいリサイクル可能な素材を使用しています。
超音波環境探知機 K-Sonar(ケーソナー)の本体情報
本体情報
本体価格:80,000円
商品内容(本体価格に含まれるもの):
1.本体 2.専用ACアダプター 3.高音質ヘッドフォン 4.点字取扱説明書
※送料は別途頂戴いたします。
※使い方をご説明しつつ練習していただく費用につきましては、お気軽にご相談下さい。
超音波環境探知機 K-Sonar(ケーソナー)の仕様
本体寸法:
12cm×5cm×2.5cm
重 量:
約110g
探知可能域:
前方5m×2m
バッテリー:
3.6V充電池
※連続使用 8時間
※充電時間 4時間
出 力:
高音質
ケース材質:
アルミダイキャスト
超音波環境探知機 K-Sonar(ケーソナー)のお求め・お問合せ
に関するお問い合わせは…
有限会社 BAT Japan(ビーエーティージャパン)
〒231-0842 横浜市中区上野町2丁目71番地5 上野町ビル1階
TEL:045-629-5655
FAX:045-629-5088
メール:k-sonar@batjp.com
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Dr.Leslie Kay(レスリー・ケイ博士)からのメッセージ
DON’T MISS TURNING
A DREAM INTO REALITY.
夢を実現するチャンスを逃さないで下さい。
これは、Dr.Leslie Kay (レスリー・ケイ博士)から皆様への言葉です。
『物までの距離が分かればいいのに』
『そのものがどんなものであるのか詳しく知りたい』
このような皆様の欲求が最新技術により実現した今、
彼が言っている様に、夢を現実にするチャンスです!
私たちに大きな夢へ向かい続けることを教えてくださったDr Leslie Kayは、2020年6月2日(享年98歳)天に召されました。 BAT Japanは先生の教えを今後も実践していく所存です。
ご不明な点など、お気軽にホームページからのお問合せください。
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